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「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」はいい映画だった(ネタバレあり)

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遅ればせながら「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」を観てきました。

あらすじとかは省いて、感想やレビューを書いておきたいと思います。

※ネタバレを含みます。

 

 

・普通に泣く

 まあ泣くだろうなと覚悟して観ましたが、予想にたがわず、ストーリーの終盤は基本涙目で見ていました。というか涙がこぼれ落ちました。

 なんなら再序盤であのボレロが流れた瞬間から色々懐かしくなって泣きそうになっててた。さらに序盤では現実世界にあのパロットモンが現れるわ、太一はグレイモンでそれに対抗するわで、セルフオマージュを多用することにより、ファンサービスを意識しているのと同時に、本作を本気で作った、というような覚悟のようなものすら感じるほどでした。

 この序盤のボレロやパロットモンVSグレイモンを意識させておいたことにより、終盤のあの笛のシーンがさらに感慨深いものになっているとも思います。太一が笛を吹くシーンは冗談ではなく体が震えた。

 

 また、今回の映画の主題としては、選ばれし子どもたちであった太一とヤマトが大人になることで、パートナーデジモンとのパートナーが解消されてしまうことに直面する葛藤や友情を描いており、すでに大人になってしまった私たちのような観客からすると、二人の気持ちが痛いほどよくわかるのです。

 アグモンやガブモンとの別れが早まるのはわかっていても、ほかの選ばれし子どもたちを助けるために敵と戦うシーンは熱くもあり、泣けもしました。特に絶望的な状況を前にして落ち込む太一とヤマトに向かって「戦おう」と呼びかけるアグモンとガブモンのシーンや、オメガモンに進化してもなお対抗できない敵に対して、それでも戦おうという決意を示し、最後の進化をするシーンはひたすらに熱かったと思います。

 

 そして、最後の戦いが終わり、パートナーデジモンと一緒にいられる時間も短くなり、太一とアグモン、ヤマトとガブモンがそれぞれ隣り合っているシーン。

 ヤマトが吹くハーモニカや、アグモンがふと見上げた太一の背中に対して、「太一、大きくなったね」と呼びかける声にじわじわと涙腺をやられます。

 そして、「明日はどうする?」というアグモンとガブモンの声に、太一とヤマトが答えようとした次の瞬間に、アグモンもガブモンもすでに消えてしまって、ただ泣くしかなくなってしまったシーンは、今これを書きながらでも泣きそうになってしまいます。

 たぶんですが、デジモンであればなんらかのご都合主義で、パートナーデジモンと離れなくても済むような展開にもできたと思います。それでもなお今回の映画で一度別れを描いたという点についてはとても好感が持てました。(もしくは次回作などの布石なのかもしれませんが・・・)

 

 

・90分という短い時間に収められた簡潔なストーリーとそれに対する登場人物の描き方の濃さ

 90分というのはアニメ映画としては普通ではありますが、それでも前作「デジモンアドベンチャーtri.」各6章もそれぞれ90分でやっていたわけで、本映画の時間は決して長くはありません。

 その中で、選ばれし子どもたちを救おうとして暴走してしまったメノアと、それに対して抗おうとする選ばれし子どもたちという簡潔なストーリー、そしてパートナーデジモンとの別れや大人への成長というテーマ、第一世代に加えて第二世代(02組)まで登場させる構成は、ちょうどよくうまくできていたと思います。

 空とピヨモンはもう戦わないことを決めており、それは番外編としてyoutubeなどで公開されており、それもまた大人になっていく過程でひとつの選択をした結果ですし、特に不満も感じませんでした。

 また、02組は海外でメノアやその助手を調査し、他の選ばれし子どもたちを助けるという役割を設けることで、裏方として活躍させることができていました。02組の朗らかで仲良しな感じがすごく良かった。大輔のあの明るさが清涼剤にも感じました。あとブイモン(チビモン)がはちゃめちゃに可愛かった。

 本作オリジナルキャラクターであるメノアについても敵としての掘り下げは適切であったと思うし、声優を務めた松岡さんも違和感を感じることはなかったです。

 

 前作「デジモンアドベンチャーtri.」がいまいち不評な理由の一つには、ストーリーや人物描写の冗長さがあったとおもうのですが、本作ではそういったこともなく、適切なスピードで物語を進め、心情の変化も描き切れていたと思います。また、tri.では毎回進化シーンをフル尺で描いていましたが、今作では不必要に長い進化シーンや、Butter-flyやbrave heartでの盛り上げのごり押しというものもありませんでした。

 

 

・作画や描写

 これもtri.と比較することになりますが、作画は非常に綺麗だったと思います。

 序盤から戦闘シーンでは派手に動いてデジモンならではのかっこよさ(あとエンジェウーモンのエロさも)を感じることができました。

 また、人物の心情を現すように、降り注ぐ雨や窓に流れるその雫などの風景についても力を入れて描いていました。

 

 

・まとめ

 ところで、英語交じりに日本語を話すメノアとか、シーンの切り替えの瞬間に消えてしまったアグモンやガブモンの描写など、なんとなく思い当たるところがある。前者は「シン・ゴジラ」にそんな人がいたし、後者は「君の名は。」のとある場面を思い出す。

 制作会社が「君の名は。」の製作協力をしていたらしいが、それ以上に、近年の映画からなんらかの要素を取り入れようとしていたのでは?という感じがします。

 

 ともかく、本作に関してはデジモンアドベンチャーが好きな方は安心して観ていいと思います。また、tri.で心が折れたという方も本作はお勧めできると思います。

 それだけデジモンアドベンチャーの続編映画としてちゃんと作られていたと思うし、観終わった後にはいい映画だったと思えるだけの余韻を残してくれました。

 今後太一が再びアグモンと出会うための物語をいずれ描くのか、それとも「デジモンアドベンチャー」としては終了とするのかはわかりませんが、個人的には今作で終わってもいいかなとも思っています。

 02のラストで太一はアグモンと一緒にいますしね。

 

 また、2020年4月からTV放送される「デジモンアドベンチャー:」がどうなるのか、ですね。